キリノート

get the best of both worlds

MacOS上のポッドキャスト編集におけるGarageBandとLogic Proの違い

MacOSに標準で採用されているDAW(音楽制作アプリ)であるGarageBandから、有料のLogic Proにアップグレードを考えている人もいると思います。

というか、#ポキ研 120 で、そのようなメッセージをご紹介しつつ、考えた結果を話していますので、トークで聞きたい方はぜひそちらで。この記事はその文字版です。

前提

そもそもGarageBandとLogic Proはルーツからして全く別のアプリで、明らかに違うアプリでした。しかし現時点(2024年1月)でのそれぞれの最新バージョンは、驚くほどよく似た、共通性の高いアプリになっています。

したがって、GarageBandユーザーはLogic Proにほぼ何の問題なく移行できると思いますし、Logic Proのユーザーが出先のゲスト環境などでやむなくGarageBandを使う場合にも、ほぼ何の問題もなく使えると思います。

特にポッドキャストの編集作業では、ソフトウェアシンセや細かいMIDIノート編集をしませんし、基本的には長時間の音声トラックを流し込み、カットするだけの作業ですので、その基本的な部分においてはGaregeBandでもLogic Proでもあまり差は出ないのではないかと思います。

しかしながら、Logic Proユーザーからすると、GarageBandでは少し不便だなと思う点が3つほどありました。

1. インタフェイス

Logic Proには全トラックのプラグインやボリュームを一覧できるミキサービューがありますが、GarageBandにはなさそうです(ないですよね?)。

長年のLogic Proユーザーとしても、もともとはAbleton Liveポッドキャスト編集を始めた身としても、このミキサー画面がないのはちょっと不便じゃない?と思ったりしますが、なければないでどうとでもなるでしょうか。

あと、Logic ProでもGarageBandでもメイン画面となるトラックビューでも、Logic Proだとトラックごとに上下の高さを変更できるので、ポッドキャスト編集においては波形を掴むのに便利です。GaregeBandだとここは調整できないような気がしました(できたら良いですね)。

これも調整できなくても、まあそれはそれでいいんですが、収録状況や話者によっては波形がとても小さい人がいたりして、これちゃんと録れてるのかどうか確認するときに、収録中でもよく上下に広げて波形を確認したりしますので、これがGarageBandでできないと、ちょっと不便な気がします。

2. Apple Loops

Apple Loopsは著作権を気にせず自由に使える音楽素材で、私は実はこれが使えることがMacポッドキャスト編集をする大きなメリットなんじゃないかと思ってます。同じ素材がGarageBandでもLogic Proでも使えるんですが、なぜかLogic Proの方が素材の細かいパラメータまで確認しながら選択・利用できます。

テンポやキーまで確認できますね。こういった音楽素材は、ポッドキャスト収録にはあまり関係がないと思う人が多いかもしれませんが、ポッドキャスターこそ簡単にフリーな音楽素材を使いたい人たちだと思うんですよね……。

私がポッドキャストで使っているジングルやBGMは、基本的にはこのApple Loopsを組み合わせて作っているオリジナルです。その際には、特にキーは大事ですね。キーの表示がないと困ってしまいます。

ドラムループを1つ置くだけでもジングルになりますので、Macポッドキャスト編集するメリットとして、このApple Loopsを覚えておいてください。

3. 完成品の仕上げと書き出し

Logic ProにはAI Mastering Assistantのエフェクトが実装されて、誰でもユーザーは使えるようになっているので、これは有料級のプラグインがタダで使えると思うとかなりいいですね。

別売りでOzoneからも有名なAIマスタリングのツールが出ていますが、はっきりって私程度のレベルだと、もうLogic ProのMastering Assistantでいいですね。

ただ、このツールは、動的にかかるものではなく、プロジェクトが概ね完成した後にいったん「Reanalyze(再分析)」ボタンを押して再計算させないと、ちゃんとAIが正しくマスタリングの設定をしてくれません。そのボタンを最後に押すことを忘れないようにすれば、大丈夫だと思います。

最後は、ポッドキャストのmp3での書き出しです。

GarageBandだと「共有」メニューから、ディスクに書き出しを選択すると思います。Logic Proだと「ファイル」から「バウンス」することになりますが、かなりパラメータが細かく設定できるようになっています。あと、PCMとMP3の二つの形式のファイルを同時に書き出せる(というか、いったんPCMで書き出したものを、MP3に変換する作業をする)ので、どっちも残しておきたいという管理をする人には便利ですね。

まとめ

というわけで、基本的にはポッドキャスト編集という点で、GarageBandとLogic Proにはそれほど表面的には大きな差がなさそうだという前提で、Logic ProユーザーがGarageBandを使うとちょっと引っかかる部分がいくつかあるな、という姿勢で3点、違いをご紹介しました。

もちろん内部的な処理でどれほど両者に差があるのかという問題はありますが、少なくとも表面的には上記のような感じでした。使い慣れていればGarageBandでも問題なさそうですが、どうしても自分はLogic Proの方がストレスなく使える感じでした。

unracer.com

良かったらポッドキャストも聞いて細かいニュアンスを確認してみてください。